【弊社坪井がWisdom2.0に参加しました~最終日編~】
アメリカでのマインドフルネス瞑想の最前線に迫るWisdom2.0 。
最終日Day3では、マインドフルネス瞑想において重要な概念である「Compassion」(他者への思いやり)をまさに実践しているRoshi Joan Halifax氏をご紹介しながら、アメリカのマインドフルネス瞑想の現状を総括致します。
「Roshi Joan Halifax~Compassionは『実践』ありき」
Roshi Joan Halifax氏は、平和運動家として著名な禅僧ティク・ナット・ハンから得度を受けた禅尼です。彼女は、ニューメキシコにあるUpaya禅センターの指導者であり、末期のがん患者や刑務所の方へのボランティアに精力的に取り組まれていらっしゃいます。
そんな彼女が強く強調していたのは、compassionとは「他者への思いやりを、行動まできちんと落とし込む」ことです。まず、彼女は「他人への思いやり・共感」という意味合いとしては類似している、compassionとempathyという2つの言葉を明確に区別します。Empathyが「感情として、認識としての反応」である一方で、compassionとは「他人への思いやりの気持ちのもとで、行動を起こすこと」であると彼女は説きます。
そして、実際に、compassion(行動を起こす)ためのプロセスとして、「GRACE」を彼女は提案していました。Gathering attention(注意を向けること)、Recalling intention(目的を思い出すこと)、Attuning self/other(自己/他者に順応すること)、Considering what will serve(尽力したいことを考えること)、Engaging(実際に取り組むこと)。
ただ、GRACEというプロセスを説明されたとしても、実際に何から始めればよいか(HOW)を悩む人も多いと思います。そのような方に対して、彼女が薦めたことは、次のようなことです。
・子供たちへ教育・生活保護を与えること
・死に向かっている人のそばに寄り添うこと
・ホームレスの方へ食事を分け与えること
・食べ過ぎないこと・肉を食べないこと
・難民に保護を与えること
・刑務所でのボランティアを行うこと
・環境保護に取り組むこと
・女性のリーダーシップを支援すること
・人種差別に反対すること
・コミュニティーに貢献すること
・戦争を終わらせること
彼女のスピーチ後、全員が総立ちとなり、拍手を彼女に送りました。あの場にいた人たちの想いは様々だと思いますが、私は社会が抱える課題のあまりの大きさ、多さに改めて愕然とした気持ちになりました。ただ、その次の瞬間には、前述したLinkedInのCEOワイナー氏からの「Systemの中におけるSub-systemを意識せよ」という言葉が頭をよぎりました。社会の抱える大きな課題(System)を、自分はどのように解決するか(Sub-systemをどのように考えるか)こそが、人生を生きる意義のようにも感じました。Compassionは宗教ではなく、人類として取り組むべきこと、という彼女の言葉が私の心に残っています。
「 マインドフルネス瞑想のこれから~アメリカでも、マインドフルネス瞑想は始まったばかり」
今年で6回目の0には、2,500人もの参加者、名だたる有名企業が参加したものの、やはり依然としてアメリカでも少数派であるということもわかりました。実際に、同じアメリカであっても、保守的な東海岸とオープンな西海岸では、マインドフルネス瞑想に対する態度が全く異なる印象を受けました。ただ、エリア以上に、今後マインドフルネス瞑想が普及していくにあたって、企業のリーダー(指導者)のマインドフルネス瞑想に対する受容度こそ、とても重要な要素であると感じました。今マインドフルネス瞑想を導入している企業の多くは、企業のリーダーがマインドフルネス瞑想に感化され、全社導入にまで至ったケースが多いです。今後、日本でマインドフルネス瞑想を広げていくにあたり、マインドフルネス瞑想に対して理解、共感する人々をいかに広げていくべきか、知恵を絞る余地がありそうです。
しかしながら、どんな形であれ、今後、着実にマインドフルネス瞑想は広まっていくものだと改めて感じたエピソードがあります。アメリカ移動中での出会いです。移動する際にお世話になった自動車の運転手さんは、中国系アメリカ人で元軍人の方でした。私たちが日本語でマインドフルネス瞑想の話をしていると、マインドフルネス瞑想という言葉に気づいたようで、彼自身PTSDを患っていた頃、禅寺に通い瞑想を行うことによって、PTSDを克服した、と話し始め、アメリカの軍人はみな瞑想をすべきだと語ってくれました。PTSDに限らず、人間関係や仕事など、現代の人はみな、大なり小なりあれども何かしらの悩みを抱えています。そういった時代の中で、マインドフルネス瞑想を行うことが自分と向き合うきっかけとなり、悩みの解決の糸口に、そして今この瞬間を大切しながら生きていくことにつながっていくのではないでしょうか。脳科学者によってマインドフルネス瞑想の効果が証明されつつある中で、今後より一層、マインドフルネス瞑想が広がっていくのではないかという想いを抱きながら、帰路につきました。